2016 年 72 巻 2 号 p. I_577-I_582
本研究の目的は,数値波動水路(CADMAS-SURF/2D)を用いて波高,周期,海底勾配別の流向・流速を把握することにより,漂砂発生が発生し始める条件を明らかにすることである.一様勾配の斜面に波浪が来襲した場合の流向は岸向き沖向きの交互に振幅しており,平均流速は波高に応じて比例して大きくなる傾向にあるが,底面流速は水深が浅くなると必ずしも波高に比例していないことが確認された.波高が2m以上となると沖向きの流速が卓越して,T.P. -1mから短期的な沖向き漂砂が発生することが確認された.3次元海浜変形予測モデルや長期的な等深線変化モデル等で短期的な沖向き漂砂を考慮しようとする場合,波浪解析や波浪条件設定の目安となる波高が約2mとなることを示した.