土木学会論文集B2(海岸工学)
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論文
DICの空間分布調査による大阪湾,播磨灘および英虞湾のCO2フラックスの評価
遠藤 徹嶋野 純平池永 健二国分 秀樹
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2018 年 74 巻 2 号 p. I_1315-I_1320

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抄録

 大阪湾のCO2吸収能を把握するため,環境特性の異なる大阪湾,播磨灘および英虞湾の3海域を対象にDICの空間分布調査を実施し,DICの分布特性を比較するとともに海面CO2フラックスを評価した.外部負荷の影響を強く受ける大阪湾奥部では,植物プランクトンの現存量が多くDICは低かった.一方,養殖が盛んな英虞湾のDICは,底質の有機汚濁により全体的に高かった.また,日中は全海域で概ねCO2の吸収源となっており,特に大阪湾は表層海水中のCO2分圧が他海域と比べて小さく,他海域と比べて高いCO2の吸収ポテンシャルを有していた.
 DICとpHから炭酸化学理論に基づいてCO2フラックスを求めた結果,大阪湾は春:12.6,秋:14.0 mg CO2/m2/hr,播磨灘は春:3.7,秋:1.5 mg CO2/m2/hr,英虞湾は秋:0.8 mg CO2/m2/hrでCO2を吸収しており,大阪湾のCO2吸収量は,世界各地で報告されている沿岸海域の平均より高かった.

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© 2018 公益社団法人 土木学会
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