2018 年 74 巻 2 号 p. I_1369-I_1374
IPCC,AR5では人間活動の最悪シナリオRCP8.5で,全球平均の海面上昇量は2100年で100cmに達する可能性が示されているが,実際の上昇量は海域により大きく異なる.特に,貿易風の影響を受ける赤道太平洋,黒潮の影響を受ける日本近海では全球平均とは異なる変動特性になっているため,長期変動特性を的確に考慮した海面上昇量の予測が必要である.本研究では,NASAの海面変動再構築データセット,Restructured Sea Level Version1(RSLV1)を解析し,太平洋全域および日本近海での長期的な海面変動特性を示すとともに,RSLV1の観測結果から季節型自己回帰和分移動平均過程(SARIMA)モデルを用いて,季節性を変化させた2070年までの日本近海の海面上昇予測を行った.さらに,季節性を30年と仮定した場合の2015,2040,2060年の海面上昇量の平面分布を示した.