2018 年 74 巻 2 号 p. I_709-I_714
サンゴ州島の形成メカニズムの解明は,サンゴ礁の発達した島々の保全・防護に重要である.本研究では,前傾化した波が遡上帯近傍で礫浜に浸透する条件下におけるサンゴ礫の移動特性を把握することを目的とし,サンゴ礫を使用した断面2次元水槽での水理実験を実施した.実験で得られたデータの分析により,特に遡上帯近傍においては礫層内においても礫の移動に有意に影響を及ぼし得る流速や圧力勾配が生じていることが分かった.さらに個別要素法を用いた礫の移動特性の再現計算から,遡上帯近傍の沖側では湧き出しに伴う鉛直上向きの流体力が礫の移動を促進し,遡上帯先端部付近では浸透に伴う鉛直下向きの流体力が急勾配斜面上における礫の安定に大きく影響を及ぼしていることが明らかとなった.