2018 年 74 巻 2 号 p. I_739-I_744
含泥率(砂泥割合)が異なる砂泥混合底質の移動実験を行い,底質の移動限界条件ならびに移動量に及ぼす含泥率の影響を調べた.その結果,底質中の含泥率の増大に伴い,粘着性の効果により移動限界流速が増加し,移動量が著しく低下した.今回の実験試料では,含泥率が約34 %のときに移動限界せん断応力が最大となり,その値は含泥率0 %の時の約6.8倍であった.次いで,実験結果に基づく移動限界条件を反映させた砂泥混合輸送シミュレーションを実行し,実験結果との比較を通じてモデルの精度検証を行った.再現計算の結果は,一部で底質移動量のわずかな過小評価がみられるものの,実験で示された含泥率の増大に伴う移動量の減少,ならびに作用外力に対する底質移動量の変化を良好に再現できていることが確認された.