抄録
天竜川河口~御前崎間の東部遠州灘海岸を対象に空中写真による汀線変化解析を行い,最新の侵食状況を把握した.その上で全沿岸を6区域に区分して土砂動態図を作成した.2008年と2016年の沿岸漂砂量分布の比較によれば,全体に沿岸漂砂量は低減傾向を示した.また,浜岡原発の両側区域では汀線の局所的後退が見られ,その特性から,浜岡原発からの最大約255 m3/sの放水が侵食に関与した可能性が指摘された.既往研究では,当沿岸での海浜変形には地盤沈降と飛砂の影響が大きいとされているが,これらに加え,浜岡原発からの放水による汀線砂の沖向き移動が侵食に係る可能性も指摘された.