抄録
島根県西部に位置する和木波子海岸では,その背後の道路への越波防止を目的に人工リーフと養浜工による保全対策が実施されている.人工リーフは波浪を低減するものの,その天端上での強制砕波によって誘発された流れにより背後の養浜工の安定性が危惧されていた.ここでは,人工リーフが誘発する流れを抑制する一部潜堤構造の突堤と,隣接する小河川の河口閉塞を防ぐための導流堤とを組み合わせて,d50=0.3~1mm程度の砂での養浜工により砂浜を創出している.本研究では,砂浜がほとんど存在しない地点において砂での養浜材で浜を創出しつつある事例を紹介するとともに,人工リーフおよび一部潜堤構造の突堤と導流堤の効果を,ブシネスク方程式モデルから得られた海浜流により明らかにした.