土木学会論文集B2(海岸工学)
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論文
伊能図に見られる津波災害地名の伝承性と被災リスクについての検証
宇野 宏司吉永 朗
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2021 年 77 巻 2 号 p. I_295-I_300

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抄録

 伊能図は,江戸時代後期,伊能忠敬によって行われた測量成果をもとに我が国初の近代測量技術によって作製された地図である.特に,国土の全容を捉えようとする意図から,文字通り全国津々浦々の沿岸部の情報が充実している.本研究では,空間情報解析で抽出された伊能図の津波災害地名を対象に,その現存率や消失時期を調べ,各種自然災害被災リスクについて評価した.その結果,伊能図に記載された津波災害地名としてのリスク顕示の有効性を示す可能性が示唆された.また,消失した津波災害地名の多くは明治22年の市制町村制施行(いわゆる明治の大合併)によるものであることがわかった.

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