土木学会論文集B2(海岸工学)
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論文
可動式防波堤の台風来襲時における被害軽減効果の検討
原田 弥子渡部 真史松本 幸久森下 和帆大西 将之木原 一禎有川 太郎
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2021 年 77 巻 2 号 p. I_823-I_828

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抄録

 本検討では,可動式防波堤の実地形における有用性検証を目的とし,東京湾を対象に経験的台風モデルに基づいた最悪シナリオ想定の台風を用いて,設置位置の違いによる可動式防波堤の水位低減効果および浸水抑制効果の程度について数値的検討を行った.その結果,港内に設置した場合,最大潮位偏差を観測した台風経路においてそれぞれ設置した場合では11.2~42.2%,複数設置した場合では27.4~45.7%の水位低減効果が得られた.また河川に設置した場合では,水位低減効果には複数設置するケースが有効であったが,浸水抑制効果には河口部のみの設置で十分であることがわかった.さらに従来の強化手法である堤防を嵩上げした場合と浸水抑制効果の比較をしたところ,港内および河川に複数設置したケースでは一律に3.0m嵩上げした場合より効果的であり,可動式防波堤の有用性を示した.

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