2021 年 77 巻 2 号 p. I_895-I_900
環境DNAを活用した藻場の増減を捉えるモニタリング方法の開発には,採水,分析手順のプロトコル化が重要である.これまでの研究で,現地調査での海草の環境DNA量は,1Lの海水を用いる従来法で定量下限以下となり,ろ過量を増やし,環境DNAを多く回収することで定量分析が可能になることを確認してきた.しかしながら,現地調査で想定される懸濁物質等により必要量をろ過できない場合の対策法は確立されていない.本研究では,低濃度で懸濁物質が多い試料から海草のDNAを多く回収する方法を検討し,現地調査に適応可能な分析方法の有効性を確認した.また,コアマモ場の入り江を対象に数値計算を実施し,採水に適した時間帯が地点毎に異なり,現地調査に向けて採水地点,時刻選定が重要であることを示した.