土木学会論文集B2(海岸工学)
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論文
気象モデルWRFの計算条件設定の違いが台風・高潮予測にもたらす影響
白井 知輝有川 太郎
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2022 年 78 巻 2 号 p. I_199-I_204

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抄録

 高潮予測精度向上のために,台風予測精度向上が望まれる.台風予測に用いられる気象モデルWRFは,計算条件設定の選択肢の幅が広い.本研究では,利用者によって設定の差が出やすく台風予測への影響が大きいWRFの計算領域設定,初期値・境界値,物理オプションに対する感度解析を行った.結果,(1)領域位置よりも水平解像度が台風予測にもたらす影響が大きいこと(2)側方境界値よりも初期値に用いる解析値の選択の方が台風予測への影響が大きいこと,そして(3)物理オプションの選定の違いによる高潮予測のばらつきと予測開始時間の関係を示した.高潮予測については,最大潮位偏差の過小評価と高潮のピーク発生時間の遅れが課題である.これらの改善のために今後,観測値を用いたデータ同化を導入し,台風経路・速度と強度予測精度向上を図る必要がある.

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© 2022 公益社団法人 土木学会
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