2022 年 78 巻 2 号 p. I_745-I_750
養殖場において発生する大規模赤潮や大雨に起因する低塩分水によって,水産生物の斃死が後を絶たない.これらの被害の低減策を創出するには海水交換率が重要な要素となる.本研究では,北海道火散布沼のウニ養殖場を実験対象に,先端的自動計測船やロガー計測により観測された低塩分水を再現可能な流動モデルに基づいた,粒子追跡モデルによって海水交換率の時間変化を評価した.その結果,日潮不等が顕著な期間には海水交換率の時間変動幅が大きいことがわかった.得られた海水交換率と気象海象データを用いて,養殖場内における表層塩分の簡易な推定方法を提案し,RMSEが0.5程度で塩分を推定できた.