海岸林学会誌
Online ISSN : 2759-2618
Print ISSN : 1347-6289
総説
クロマツ海岸林の植栽本数について
坂本 知己
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 17 巻 2 号 p. 39-46

詳細
抄録
クロマツ海岸林の植栽本数の決め方について文献調査を行った.植栽本数を決めるにあたって考慮すべき諸条件は示されているが,諸条件に基づいて植栽本数を決める具体的な手順は示されてこなかった.一般的とされる植栽本数10,000 本/ha は,理論的に決められたというより,諸戸(1921)の著した教科書の数値が実践の中で引き継がれてきたものと考えられる.改めて,植栽本数の決め方を次のように提案した.クロマツの生育には密植するほど有利だが,労力と経費の点から,現実的な上限を10,000 本/ha とする.最少の植栽本数の目安は,期待する樹高に達したときに林冠が閉鎖する立木密度である.活着後も防風工による植栽木の保護が必要になるような海風環境の厳しい植栽地では,樹高が保護工の高さに達したときに林冠が閉鎖する立木密度以上の植栽本数にする.なお,この立木密度は,保護工の高さが1 m の場合には10,000 本/ha になる.
著者関連情報
© 2018 日本海岸林学会

This article is licensed under a Creative Commons [Attribution 4.0 International] license.
https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/
前の記事
feedback
Top