論文ID: 2023.24002
業績協定はドイツでは,2000年前後に高等教育で規制緩和が実施された後,広く用いられるようになった。業績協定は,大学が追求すべき業務目標を教育省との間で契約として約定し,事後に達否を検証して,結果をその後の資源配分に反映させるものである。その点で,わが国の国立大学の中期目標・中期計画と類似したものである。
本来は,目標管理のツールたる業績協定は成果連動の資源配分の一環をなす。但し,高等教育では,その特性のために厳密な成果測定は困難なため,業績協定は資源配分面の影響力は小さい。しかしこの制約にもかかわらず,ドイツでは業績協定が広く用いられている。それは,業績協定に学内外の対話と経営戦略化の役割が期待されているからである。これは,ポストNPMの大学統治に向けてわが国にも大きな示唆を与える。