2006 年 15 巻 4 号 p. 335-341
1982年と関西空港や明石大橋が建設された後の2003年に,大阪湾内における27点(1982年)と28点(2003)で採取された表層底泥の中央粒径.歪度・淘汰度を解析し,底質分布・底泥輸送経路の比較を行なった。その結果, 1982年と比べると2003年には,中央粒径は大阪湾中央部で粗く,友が島水道付近で細かくなり,粒径分布は大阪湾中央部で細かい側,友が島水道付近で粗い側に偏り,大阪湾のほぼ全域で淘汰度は悪くなっていた。また底泥輸送方向は, 1982年には大阪湾東部と中央部で北向き,北部と南部で西向きであったが,2003年には大阪湾中央部から明石海峡に向けた北向きの底泥輸送が顕著になり,大阪湾南東部の関西空港南部では底泥輸送方向が1982年の西向きから2003年の北向きへと大きく変化していた。
以上のことは大阪湾の大規模開発に伴い,大阪湾中央部の流速は増加して,中央部から明石海峡への粗い粒子輸送が増加したこと,友が島水道付近の流速は減少して,友が島水道から中央部への細かい粒子輸送が増加したことを示している。