海の研究
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2006 年度日本海洋学会岡田賞受賞記念論文
熱帯の季節変動における大気海洋相互作用の研究
東塚 知己
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2006 年 15 巻 6 号 p. 455-463

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抄録

ミンダナオドームの季節変動に関する2つの必須要素(発生に重要な冬季アジアモンスーンに伴う局所的なエクマン湧昇と消滅に重要な東方からの暖水の侵入)の変動が,その経年変動をもたらしている。また,このドームの減衰に重要なロスビー波を解析する過程で,海盆スケールの大気海洋相互作用現象である季節的なエルニーニョ“Annual ENSO”が存在することが明らかになった。そして,この現象と経年的なエルニーニョの強さの違いが10年スケールで変動し,エルニーニョに多様性を与えている。さらに,大気海洋結合モデルで“Annual ENSO”を再現する重要性を示した。このように,季節変動は熱帯域の気候変動においても重要な役割を果たしており,季節変動を良く考えることが,熱帯域の経年変動や長期変動の理解を深める上で鍵を握ると考えられる。

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© 2006 日本海洋学会
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