日本海洋学会誌
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親潮域における輸送水量の変動について
秦 克己
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1965 年 21 巻 5 号 p. 193-201

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抄録
1) 親潮接岸分枝の流量は1~4×106 m3/secで変動し, その年変動は1953~1954年と1960~1961年に極大が, 1956~1957年と1962~1963年に極小があらわれていて, 約7年の周期が見られる。
2) 北海道東方および三陸沖における黒潮系水の北上が顕著な年に親潮接岸分枝の南下流量が大, 逆に黒潮系水の北上が弱い年に親潮接岸分枝の南下流量が小となっていて, この現象は黒潮の補償流が親潮であることを示す一例と考えられる。
3) 春季では, オホツク水が北得撫水道を通過して太平洋に流出して, 南千島列島に沿い南西流し, その主流は親潮接岸分枝としてさらに南西流している。
4) 西部北洋中央水の南限は1963, 64年の夏季に44°N付近で, これより南に達していない。又その南下流量は2×106 m3/sec前後 (1200 db基準でもほぼ等値)で, 平野が算出した値 (6~9×106)よりもかなり小さい。
5) 千島近海の親潮について, その流路は春季・夏季とも同じであるが, その水塊は春季にオホツク海水が直接太平洋側に流出しているが, 夏季に宗谷暖流系水の影響を受けてやや高かんとなっている。
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