日本海洋学会誌
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海峡を通しての潮流による海水の交換と物質の交換
松田 義弘
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1984 年 40 巻 1 号 p. 19-28

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抄録

海峡部での潮流による物質輸送の基本過程をモデル化して示し, これにより, これまで用いられてきた種々の潮汐交換の概念の間の相違を指摘, 確認した. とくに, 交換の対象となる物質が海水中に溶存, あるいは浮遊している場合, すなわち, 物質が独自の運動をせず, 海水をcarrierとして移動する場合であっても, 海水自身の交換と物質の交換とは区別して考えるべきことを示した.
さらに, Fischerら (1979) が名付けた“tidal trapping”の物理的意味を本論文のモデルに従って検討した.海峡断面における潮流速に対する物質濃度の位相遅れ (δ) はtidal trappingの重要な因子であり, このδと海水自身の交換率 (r) の間に次の関係が得られた. δ=tan-1 (1/γ-1) 静岡県の浜名湖, 沖縄県の川平湾での観測結果は上の関係を支持している.

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