日本海洋学会誌
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海洋表層流の発散と渦度のスケール依存性
1. 発散と渦度の面積平均値の測定と計算
川合 英夫
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1985 年 41 巻 3 号 p. 157-166

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抄録

水平発散と渦度鉛直成分の面積平均値を求めるために, 次の3方法を提案・検討する. 多角形法は漂流体を結んで作られる多角形の変形に基づくもので, これには種々なスケール (1cm~1,000km) に展開され, 多様な方法で追跡された漂流体の資料が用いられる. ループ法は, 1個の漂流体が潮汐渦, 切離渦, または大環流を少なくとも2周するときに採用される. ループを1周するだけの漂流体資料しか入手できないときでも, 渦度は計算できる. 横断法は黒潮切離渦周縁上のGEK資料に適用される. 水平面内または鉛直水柱内における正・負の発散または渦度の相殺的配置を例示する. しかし鉛直水柱内では, 渦度の相殺的配置は一般に起き難いようである. 漂流体多角形の面積反転, および面積スケールに応じた適切なサンプリング時間間隔についても検討する. 限られた数の漂流体では, 物質線の長時間にわたる複雑な変形が捕らえられないから, 多角形法は無用であるという誤解が, Rhines (1979) のスケッチの第一印象により生じたが, 空間スケールに応じて適切に短い時間スケールをとることにより, この問題が解決されることを示す.

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