日本海洋学会誌
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相模湾の黒潮の流路・流量と伊豆半島附近の冷水塊との関係
平 啓介寺本 俊彦
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1986 年 42 巻 3 号 p. 212-223

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抄録

大島西水道から放流した漂流ブイを大島東水道まで追跡して, 相模湾の黒潮の流路を調べた。水深500mの大島西水道は伊豆海嶺を西から東へ通過する黒潮の最北の通路になっており, 係留流速計を展開してその流量を評価した。300m層にドローグをとりつけた漂流ブイは大島をまわって, 大島西水道から大島東水道へ流れ出た。大島の北東部で表層流と下層流の流向が異なることが漂流ブイによって示されたので, 流速計も用いて, 表層では北向きであるが深度とともに流向が変化し, 底層では東向きになっていることを確かめた。大島西水道の6層の測流結果から断面流速の分布を調べ, 北向きの強い流れの核が水道の東側の斜面上にあること, そして, 西側の斜面上では弱い南向きの流れがある.ことを示した。また, 相模湾に流入する黒潮の流量の評価値として1.8×106m3sec-1を得た。大島西水道の長期測流によって, 通常は北流であるが, 1977年7月, 1978年5月, 1979月4月の3回にわたって, 南流になったことを観測した。これらの変化は伊豆半島の南方に出現した冷水塊や暖水塊によって引き起こされたことが示唆された。測流観測と海洋観測の結果に基づいて, 1977年7.月の冷水塊の消滅について論じた。

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