日本海洋学会誌
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海水の燐酸定量を阻害する物質に就いて
佐伯 有常
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1952 年 8 巻 2 号 p. 73-78

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抄録
海水の燐酸をDENIGES-ATKINS法で比色定量する際には従来考えられていた塩素イオン, 銅, 鉄及び泥土の膠状部分の他に亜硝酸も阻害作用を有する。 此等の物質は塩化第一錫の還元作用を妨げたり燐酸の吸収や放出を行つて時には数拾%に及ぶ誤差をもたらす原因となる。
プランクトン等の生物やその残査を包合する海水にはフオスフアターゼがある。 従つて防腐剤を入れて置いても採水後分析迄の保存中に燐酸の量が変化する。 この他にも定量の妨げとなる若干の成分の変動があるから, 試水の保存には硫酸の添加等が望ましいと考えられる。
終りに臨み御懇篤な御指導を賜わり且つ本文を御校閲下さつた松江教授に深謝する。
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