海の研究
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沖縄本島で発生した高潮位に関する研究
渡慶次 力柳 哲雄
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2003 年 12 巻 4 号 p. 395-405

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抄録

沖縄本島では夏季台風が接近するため高潮の被害が深刻な問題となっている。一方, 2001年7月20日から23日に那覇において,観測史上初めて低気圧の通過や強風のない状況でも道路冠水の被害が発生して社会問題となった。そこで沖縄本島の那覇で観測された潮位記録と衛星から得られた海面高度偏差記録を用いて,台風通過のあった1997年8月17日の高潮位と,低気圧の通過や強風を伴わない状況で発生した2001年7月22日の高潮位の原因について調べた。その結果,高潮位を発生させた潮位の長期変動において,1997年と2001年は近年における那覇の経年的な年平均潮位の上昇と,夏季に最大値となる季節変動であるSa潮の振幅が大きかったことから,冠水被害を伴う高潮泣か発生しやすい傾向にあったことがわかった。さらに那覇において高潮位を発生させた潮位の短期変動の要因に関して,1997年8月17日においては台風通過に伴う海面上昇, 2001年7月22日においては直径を200kmから500kmと変化しながら,西の方向へ約6.3 cm s-1の移動速度で北緯29度,東経157度付近から沖縄本島まで到達した中規模渦(10cm以上の正偏差域で定義される)による海面上昇が,主な要因であったことが解明された。

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