2001 年 27 巻 5 号 p. 554-559
Re=4,500で,多数の渦が形成され変動流が支配的な邪魔板なし撹拌槽の瞬時の流れを3次元ナビエ・ストークス式を直接数値計算することにより求めた.本計算では慣性項の差分には4次の中央差分,それ以外の空間微分項には2次の中央差分を用い,時間発展項には2次のルンゲ・クッタ法を用いた.計算にはマルチブロック法を用い,一定角速度で回転する複雑形状の翼,翼を支える円板を含む領域を回転円筒座標系で表わし,その他の領域は静止円筒座標系で計算した.流体の静止状態から撹拌翼が回転を開始して12回転程度,実時間に換算して約64秒(流体が水の場合)間の現象を明らかにした.計算結果の可視化によって渦の生成,干渉,合一のおおよそのメカニズムを明らかにすることが出来た.時間平均速度分布や乱流強度分布の計算結果は実験結果と良く一致し,本計算方法及び結果によって実際の邪魔板なし撹拌槽の流れ場を表現できることがわかった.