化学工学論文集
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安全,環境,エネルギー
建設汚泥の焼成処理による粒状材の製造
川口 正人石川 敬久堀尾 正靱
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2003 年 29 巻 1 号 p. 47-53

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抄録

建設汚泥は建設廃棄物の中で最大量の480万トン(平成12年度)が有効利用されずに処分されている.有力な再資源化技術のなかでも,焼成処理は,軽量骨材や透水性材料などの形で汚泥を再利用可能にする手法として注目されてきたが,大型の集約的固定施設が必要となり,まだ普及していない.本研究では,建設汚泥を,それが発生した作業所内で,可搬型自燃式縦型焼成炉を用いて焼成処理し「自ら利用」するための基礎的検討を行った.東京都内の建設作業所から廃棄された脱水ケーキを造粒,乾燥し焼成物を得た.まず,電気炉を使用して得た焼成物を強度試験,細孔分布,XRD,SEMにより評価した.その結果,600°C以上の焼成物は水との再接触による強度低下はなく,900°C以上の処理では,微細孔の減少・収縮,共晶体の生成によって人工軽量骨材と同等以上の強度が得られた.1,100°C以上の処理は造粒体同士が焼結することがわかった.そこで,1,000°Cを好適処理温度と設定し,自然式縦型焼成炉を用いて得られた焼成体を評価した.その結果,電気炉を用いた焼成物の場合と同様に,市販の人工軽量骨材と同等の特性が得られ,作業所内でのリサイクル技術として有望であることを示した.

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© 2003 公益社団法人 化学工学会
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