2003 年 29 巻 1 号 p. 70-75
自動車外板向けの溶融亜鉛めっき鋼板の外観は美麗なことが要求され,溶融亜鉛めっき浴内にあるドロスがめっき鋼板表面に付着することは望ましくない.このドロス付着防止のためには,めっき浴中でのドロス挙動を把握することが必要である.そこで本研究では,浴中のドロス分布を知るために,ドロスの密度を実機での沈降試験から求めた.その結果,ドロス沈降速度は球形換算したδ1相の物性値をストークスの式に適用することで導出できることがわかった.さらに,その物性値を用いて三次元の混相流解析で浴中のドロス分布を求めた.この解析により,溶融亜鉛の流速が遅く,また乱流エネルギーの低い部分に堆積することがわかり,鋼板出側よりも入側のめっき浴底部に多く堆積する.