2003 年 29 巻 5 号 p. 635-639
下水汚泥を原料とし従来の吸着材の製造方法である炭化後賦活処理を行うのではなく流通ガスによる加熱処理のみの一工程で製造した活性コークスを,廃棄物の燃焼排ガスまたはガス化による燃料ガスに含まれる有害物質の吸着除去プロセスへ応用するシステムを提案し,活性コークスの製造試験および性能評価試験を行った.活性コークス製造試験では,ペレット状に成形した乾燥汚泥を石英ガラス製反応管内で加熱処理し,得られた活性コークスの細孔構造に与える反応管内流通ガスの種類,温度制御および処理時間の影響について検討を行った.その結果,細孔構造は温度,流通ガスの種類(N2,CO2およびスチーム),処理時間に影響され,処理温度823K,処理時間60分,スチーム雰囲気下で製造した活性コークスが細孔径5nm以下で最も大きな比表面積を有していることを明らかにした.一方,活性コークスへのダイオキシン代替物質として用いたベンゼン吸着量試験から,比表面積当りの吸着量が,工業的に使用されている石炭を原料とした活性チャーと同レベルの吸着量を有することを示した.