化学工学論文集
Online ISSN : 1349-9203
Print ISSN : 0386-216X
ISSN-L : 0386-216X
環境
廃棄物由来のMg/Al系ハイドロタルサイトを用いた水溶液中の有害重金属イオンの除去
村山 憲弘田辺 満昭柴田 亮山本 秀樹芝田 隼次
著者情報
ジャーナル 認証あり

2005 年 31 巻 4 号 p. 285-290

詳細
抄録
アルミ再生工程から排出されるアルミドロスおよびMgCl2廃液を用いて,無機陰イオン交換体であるハイドロタルサイト(以下,HT)の合成を行った.得られたCO32−型HTおよびその焼成物を用いて,水溶液中で陰イオン種を形成するAs(III), As(V), Se(IV)およびCr(VI)の除去を行った.
CO32−型HTおよびその773 Kでの焼成物によるAs(III)の除去量は,HT焼成物を用いる方がCO32−型HTよりも高い.As(V)の場合,焼成物とCO32−型HTとの間にAs(V)除去率の大きな差は見られない.ヒ素の場合と同様に,CO32−型HTおよび焼成物を用いたSe(IV)およびCr(VI)の除去が可能である.HT焼成物によるAs(III)の除去では,HT中のOHとAs(III)との陰イオン交換反応よりも,再水和時にAs(III)が直接的に取り込まれる反応が支配的である.As(III)除去操作後のpHはHTのpH緩衝作用によって約11に調整されるので,初期pHによらずAs(III)の除去率は約90%と高い値で一定となる.CO32−型HTの焼成温度が673 Kのとき,HTの再水和に伴うCr(VI)の取り込み量が最も高い.廃棄物から得られたHTは陰イオン除去能とpH緩衝作用を併せ持つ優れた有害重金属の除去剤として利用できる.
著者関連情報
© 2005 公益社団法人 化学工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top