2007 年 33 巻 5 号 p. 383-390
モンテカルロ・シミュレーションにより,強磁性ナノ粒子からなる擬2次元単層膜のミクロ構造に対する垂直外部磁場と面積分率の影響を調べた.シミュレーションで得られたミクロ構造は動径分布関数と配向分布関数によって解析した.得られた結果を以下に要約する.粒子の面積分率が小さい場合,磁場の強さが増加するにつれ磁気モーメントが磁場方向に配向するため,鎖状構造の形成が妨げられる.それゆえ,磁場が十分強くなるとミクロ構造は気体的な特徴を示す.面積分率が大きい場合,比較的磁場が強くても鎖状構造は残る.非常に強い磁場を作用させると,鎖状構造が消滅する代わりに液体に類似したミクロ構造があらわれる.