本論文ではCO2冷凍サイクルを対象として,内部熱交換器が交換熱量および成績係数に及ぼす影響を解析を用いて検討した.はじめに圧縮機の体積効率および断熱効率を算出し,解析精度を検証するため,CO2冷凍サイクルのサイクル試験を行った.次に本解析を用いて,内部熱交換器伝熱面積,環境温度,低圧側圧力および高圧側圧力を変化させて,内部熱交換器が交換熱量および成績係数に及ぼす影響を検討した.実験結果との比較により,本解析は蒸発器での交換熱量を+5.1%,冷房成績係数を+5.2%および冷却器での交換熱量を+3.0%の精度で実験結果を予測可能である.環境温度がより高い条件で,蒸発器の伝熱性能が低く,蒸発器出口の過熱度が小さい運転状態の場合に,内部熱交換器を設置すると,より大きい交換熱量および成績係数の増加が可能であることがわかった.とくに,冷却器出口温度が擬臨界温度近傍の場合,さらに大きな交換熱量および成績係数の増加が可能であることがわかった.