化学工学論文集
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分離工学
充填塔による硫化水素の吸収処理に関する研究
初谷 智美北野 誠佐藤 健治
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2011 年 37 巻 2 号 p. 156-161

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抄録

バイオガスの生物脱硫技術である二塔型生物脱硫法における硫化水素(H2S)の水への吸収に関して,H2Sの電離平衡,気液平衡,気相から液相へのガスの物質移動,充填材の物性を考慮した吸収塔モデルの妥当性を検証した.充填材として磁製ラシヒリングとポリプロピレン製成型充填材を用いて,吸収用の水を一過方式で散水する試験によって,液ガス比(L/G)がH2S吸収率に及ぼす影響を調べて,H2S吸収率(計算値)が実験値とほぼ一致することを確認した.
一方,pHを7と9に調整した吸収用の水の循環方式吸収試験において,L/GをパラメータとしたH2S吸収率の計算値が実験値とほぼ一致したことによって吸収塔設計ができるようになったことから,その後段になる生物反応塔の入口・出口設計条件と制御pH条件を与えることが可能となった.

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© 2011 公益社団法人 化学工学会
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