化学工学論文集
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材料工学,界面現象
低融性を特徴とするV2O5–Li2O–TeO2系鉛フリーガラスの熱的特性・耐水能力・封着能力評価
竹宮 鉄史吉田 昌弘甲原 好浩
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2011 年 37 巻 2 号 p. 197-202

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抄録

低融点,低熱膨張性,高耐水性に優れた封着加工用鉛フリーガラスは,封着材としてセラミックスやエレクトロニクス産業の分野で望まれている.本研究では,V2O5–Li2O–TeO2系の三成分の金属酸化物を選択し,さまざまな組成で調製し,封着加工用鉛フリーガラスとしての要求を満たすガラスの評価を行った.具体的な評価としては,熱量分析におけるガラス転移点,ガラス軟化点,結晶析出点,熱機械分析における熱膨張特性,粉末X線におけるガラス構造確認を行い,三成分系のガラス化範囲の同定を行った.その結果,(10–40 mol%)V2O5–(0–40 mol%)Li2O–(30–70 mol%)TeO2の範囲において封着加工用ガラスとして低温軟化性で非晶質構造のガラスを調製することができた.低熱膨張セラミックフィラーであるリン酸タングステン酸ジルコニウム(ZWP)を添加することで被封着材として利用されているソーダライムガラス(熱膨張係数:7.0–8.0×10−6−1)と同等の熱膨張係数のガラスが調製できた.とりわけ,10 mol% V2O5–20 mol% Li2O–70 mol% TeO2の組成からなる鉛フリーガラス(V–Li–Te–12)の80 wt%に20 wt%のZWPを添加したガラスは,ソーダライムガラス同等の熱膨張係数を有しており,1.6 kgf/cm2の接着強度であった.さらに耐水性試験も行った結果,調製されたガラスは高耐水性に優れたガラスであった.

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© 2011 公益社団法人 化学工学会
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