化学工学論文集
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環境
塩化揮発による光学ガラスからのレアメタルの分離回収
望月 友貴庄司 剛章加藤 貴宏村上 賢治菅原 勝康
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2011 年 37 巻 5 号 p. 454-459

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抄録

本研究は,光学ガラス製造工程で生じる研磨粉や切断片に含まれる希少元素を効率的に分離回収するためのプロセス開発に関する研究の一環として,研磨粉ならびに切断片を塩素気流中,最高到達温度200–1000℃で加熱した時の希少元素(La,Gd,Nb,Ta)ならびに共存元素(Ti,Zr,Zn)の塩化揮発挙動を詳細に追跡した.試料を加熱すると,700℃付近からZnやNb,Ti,Laが急激に揮発し,1000℃までにほぼすべて揮発したものの,Zrは800℃以上で10–90%の揮発率を示した.一方,試料に炭素を添加した場合,LaおよびGd以外の元素の揮発が促進され1000℃までにそれらの全量が揮発した.LaおよびGdは800℃からわずかに揮発し始めるものの,1000℃までに2–3%の揮発率に留まった.700℃にて,120 min加熱したところ,TaおよびNbの全量を揮発でき,LaおよびGdとの分離が可能であった.さらに,1000℃にて120 min加熱するとLaの70–95%が揮発するが,Gdは20%と低い値となった.これらの実験結果をもとに,光学ガラス試料に炭素を添加し,塩素気流中で500,700,1000℃と三段階にわけて加熱することにより,レアメタルを分離回収できるプロセスを提案した.

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© 2011 公益社団法人 化学工学会
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