化学工学論文集
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広領域,その他
木質バイオマス粉砕における振動ミルのスケールアップ効果
小林 信介稲野 稔坂倉 慶春板谷 義紀
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2011 年 37 巻 5 号 p. 468-472

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抄録

振動ミルによるスケールアップ効果について検討を行うため粉砕容器サイズの異なる回分式振動ミルを用いて木質バイオマスの微粉砕実験を行った.粉砕実験においては粉砕容器の筒径および筒長さを変化させ,容器の筒径や筒長さが木質バイオマスの粉砕性や微細木粉の生産性に与える影響について評価を行った.また,粉砕実験の結果を用いて振動ミルのスケールアップによる木粉生産速度および消費電力量の変化について推算した.粉砕実験の結果,粉砕容器の径や長さが木質バイマスの粉砕性に大きな影響を与えることが明らかとなった.容器径を大きくすると木粉生産量は増大するもののセルロースの結晶化度で評価した粉砕性は著しく低下した.一方,筒長さの変化に対する粉砕性への影響はほとんど見られなかった.スケールアップ計算では筒径の増大に伴う生産量の増加に対して装置重量に伴う消費電力の増大は著しく,生産量当たりの消費電力量は容器径のスケールアップとともに増大した.一方,粉砕性が変化しない筒長さ方向へのスケールアップでは消費電力量の大幅削減が可能ではあるが,容器長さ方向だけのスケールアップでは生産性の向上に課題が残ることが明らかとなった.

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© 2011 公益社団法人 化学工学会
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