化学工学論文集
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分離工学
多孔質材料の細孔内の吸着水分布に関する新規測定法
黒川 麻美外川 純也鍋島 佑基長野 克則
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2011 年 37 巻 6 号 p. 506-511

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抄録

メソ孔やミクロ孔を有する多孔質材料は吸湿性能を示すことが知られている.その評価手法として,絶乾試料を用いた水蒸気吸着等温線測定や窒素吸着法による細孔分布解析が一般に行われている.しかし,実際に吸着剤が利用される環境では,吸着剤は絶乾状態ではなく,環境条件に応じた水蒸気吸着が起こっている.そこで相対湿度の変化に対する水蒸気吸着により,窒素吸着法で求まる細孔分布がどのように変化するかを評価するため,種々相対湿度環境下で吸湿平衡状態に達した試料を液体窒素で瞬間凍結させた後,乾燥操作を行わずに,窒素吸着測定を試みた.その結果,いずれの場合も,小さな径の細孔から順に水分子の吸着が始まり,相対湿度の増大とともに大きい細孔径の細孔にも水分子の吸着が進み,ある相対湿度以上では細孔内が吸着した水分子によって完全に占領される様子を細孔分布ヒストグラムで視覚的に示すことができた.

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© 2011 公益社団法人 化学工学会
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