2013 年 39 巻 5 号 p. 413-419
正転方向において掻き取り,掻き上げ方向の上下翼を持つ特殊アンカー翼を用いたクリーム冷却保持槽は,逆転においては押し付け,押し下げという撹拌となるが,このような撹拌翼の回転方向や上下翼の位相差の変更によって,冷却速度や製品へのダメージが影響を受けることが知られている.この現象に対して数値流体力学による冷却シミュレーションを試みた結果,既報実験値と良い一致をみることができ,本解析方法の妥当性を確認することができた.さらにこの解析結果から,逆転時の上翼に生じる壁面への押し付け方向の流れが熱流束を増大させていることや,上翼の下端で発生する下降流と下翼の翼端で発生する上昇流が槽内の均一性を向上させていることが明らかとなった.また撹拌の上下翼に位相差をつけることによって,動力やせん断応力が抑えられる傾向も見出すことができた.