2017 年 43 巻 1 号 p. 45-49
メソ孔性炭素材料であるカーボンゲル(Carbon Gel)CGをキャパシタの電極として用いて,有機系電解液である0.5 M LiClO4/PCに対する電気容量の評価および長期充放電による安定性の評価を行った.またメソ孔容積による電気容量への影響を検討した.メソ孔容積の増加に伴い電気容量も増加し,カーボンゲルCG-74(74はpH基準で触媒の濃度である7.4の略称)はすべての掃引速度で市販のマイクロ孔活性炭より高い電気容量が得られた.長期充放電測定の結果では,CG-74はマイクロ孔性活性炭より高い安定性を示した.安定性の低下原因を調べるため,表面特性と細孔構造の評価を行った.官能基は生成しなかったが,マイクロ孔性活性炭のカソードでリチウムの析出が見られた.細孔構造ではリチウムの析出による細孔容積の減少は確認できず,すべての試料でマイクロ孔容積が著しく減少した.一方でメソ孔容積は減少しなかった.このため長期安定性を考慮した場合,メソ孔を有するCG-74が有効であると考えられる.以上のことから,有機電解液ではイオン拡散と長期安定性を考慮した場合,メソ孔性炭素材料CG-74はマイクロ孔性活性炭より優れた電極材であると考えられる.