化学工学論文集
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反応工学
遷移状態理論に基づくキネティクスシミュレーターの開発と溶液のガス吸収反応系への適用
山口 徹 山田 秀尚堀 憲次
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2017 年 43 巻 2 号 p. 111-116

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抄録

複雑な化学反応の挙動を正しく理解することは,効率的な化学プロセスを設計するうえで非常に重要である.近年,理論計算による反応解析によって,個々の反応については,分子レベルのメカニズムをエネルギーと共に明らかにすることができるようになってきている.しかしながら,特に基質を共有する複数の反応が混在するような複雑系においては,複数の反応が基質へ与える影響を同時に考慮する必要があり,全体像を理解することは,なお難しい課題である.そこで本研究では,化学反応速度論に基づき,複雑な反応における反応基質および生成物の精密な濃度変化を,さまざまな時間スケールの反応を考慮して計算可能なキネティクスシミュレーターを開発した.さらに,本シミュレーターをアミン溶液のCO2ガス吸収反応へ適用し,化学種分布の詳細な時間変化を明らかとした.

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© 2017 公益社団法人化学工学会
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