化学工学論文集
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[特集]未来を担う環境化学工学
バイオマスを原料とした分子篩炭素(MSC)の製造
林 順一
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2017 年 43 巻 4 号 p. 219-223

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抄録

バイオマス(ヒノキチップ)を炭化(炭化温度500–1000°C)して,分子篩炭素の製造を試みた.得られた炭化物を用いて,二酸化炭素–メタン,プロパン–プロピレンの分離の可能性について吸着量,吸着速度の面から検討した.その結果,二酸化炭素–メタンについては,すべての炭化物に二酸化炭素もメタンも吸着したが,いずれの場合もメタンより二酸化炭素を多く吸着した.炭化温度800°C以上の炭化物に対して,分子サイズが大きいメタンの吸着時定数が二酸化炭素の30–180倍であることがわかった.プロパン–プロピレンについては,炭化温度800, 900°Cで得られた炭化物に対してプロピレンは吸着するが,プロパンはほとんど吸着しないことがわかった.また,炭化温度700°Cの炭化物に対して,プロパンの吸着時定数はプロピレンの110倍であることがわかった.以上のことからヒノキチップ炭化物を用いて二酸化炭素–メタン,プロパン–プロピレンの分離が可能であると考えられた.

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© 2017 公益社団法人化学工学会
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