2017 年 43 巻 4 号 p. 178-184
近年,世界のプラスチック生産量が増加している中で,資源利用効率の観点および省エネルギーの観点からプラスチックリサイクル技術の意義はますます高まっている.本論文ではプラスチックリサイクル,とりわけ,高収率のモノマー回収や原燃料としての再利用が可能で,発生したガスや残渣も活用できる手法を含むフィードストックリサイクル(Feedstock Recycling)に焦点を当て,新たな技術動向および課題について論じた.さらに,プラスチックリサイクル研究および技術開発の現状に関して国際比較を行った.その結果,産業分野や家庭から実際に排出されるプラスチックの組成がますます複雑化してきている中でリサイクルの技術的課題が増大していることが示唆された.一方で,政策的課題・社会システム的な課題もあり,国による差異も顕在化してきていることがわかった.