2017 年 43 巻 6 号 p. 379-385
粉体の乾式光反応装置の設計や工業化に向けた知見を得るために,ポリ塩化ビニル(PVC)を対象として,容器回転型反応器および流動層型反応器を用いた乾式光塩素化反応を行った.反応速度解析の結果,いずれの反応器形式でも塩素化反応速度がポリ塩化ビニル濃度の1次,気相中の塩素ガス濃度の0.5次の総括反応速度式で表せた.総括反応速度定数K[1/min]は,温度に対しアレニウス式にしたがい,反応器へのPVC充填量1 molあたりに単位時間に照射した紫外線エネルギーI[mW/mol]と強い相関があった.また,粉体の混合条件(容器回転型反応器における回転数)の影響も受けた.総括反応速度定数と反応条件や混合条件の関係をより一層明確化することで,最適な乾式光反応装置の設計が可能となる.