2023 年 49 巻 6 号 p. 159-165
アーンド・バリュー法が1970年代に考案されて以来,プロジェクト管理において工程,資源,コストの3つの要素を考慮することで,プロジェクトの計画と進捗管理が可能になった.しかし,近年,プロジェクトの大規模複雑化やプロジェクトを取り巻く環境の変化により,遅延リスクの問題が深刻化している.このような状況下では,プロジェクト管理者の経験や直感に頼ることが多く,遅延リスクを考慮したプロジェクト・スケジュールの管理の仕組みを開発することが求められている.そこで,本研究では,遅延リスクを管理するためのシステムの開発を目的とし,遅延リスクをスケジュール・ネットワーク全体の余裕の大きさの作業遅延に対する感度として算出する方法,および,これを少ない計算量で精度よく計算する方法を提案する.