化学機械
Print ISSN : 0368-4784
攪拌式流動触媒法の研究
永田 進治松山 卓蔵橋本 尚人長谷 治雄
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1952 年 16 巻 9 号 p. 301-306

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抄録

流動触媒法は周知のごとく幾多の利點を有するが反應速度のきわめて遲いものに対して実施し難い場合もある。すなわち原料ガスを普通の流動觸媒法の適用される速度で送れば反應率惡く,さりとてガス速度を低下すれば流動化しないか,あるいはチャンネリングを起す。攪拌式流動觸媒法はかゝる場合にも有効に反應を行わせるべく機械攪拌を併用する方法で,本報告はその効果的な應用例として有機珪素化合物の直接合成を行い,その反應速度の大なることを示した。また裝置設計に必要な攪拌所要動力の研究を行つた。本方法の利点としては次のごときものが考えられる。(i)使用觸体として相当広範囲の粒度のものが使われ目篩を揃える必要がない。(ii)使用觸体の全部が反應に與かり,したがつて反應速度が大である。(iii)觸体粉末はある程度層状に分けられて攪拌されるから運轉中の新旧觸体の取換えに便利である。同時に原料ガスと生成ガスの混合がある程度防止される。(iv)傳熱壁面と觸体との間の傳熱速度が大で,觸媒層内の温度分布は畧一定に保持される。(v)機械攪拌を適用することによりチャンネリングを防止し,一方反應ガスを送ることにより機械攪拌の抵抗を低下し得て,両者相助け合う結果となる。(vi)觸体表面上に生成すると考えられる炭素,灰分等の異物が機械的に除去される。

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