化学工学論文集
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Ca(OH)2/CaO系可逆反応を用いる高温化学ヒートポンプの固体層温度応答
松田 仁樹宮崎 光俊架谷 昌信梁取 美智雄
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1988 年 14 巻 6 号 p. 769-778

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抄録

Ca(OH)2/CaO系可逆熱化学反応と水の蒸発/凝縮を組合わせた高温化学ヒートポンプを試作し, 本装置の放熱ならびに蓄熱特性を固体層の温度応答に着目して検討した.
その結果, 放熱期間においては, 反応器内のCaO粒子層温度は, 蒸発器から水蒸気を導入すると同時に, CaOの水和発熱反応によって, 瞬間的に一定の反応平衡温度にまで上昇し, 水和反応期間の大半, この一定温度に保たれることを認めた.また, 圧力142kPa以上の加圧水蒸気を用いることによって, 反応器は800K以上の比較的高温にまで容易に昇温しうることが認められた.
蓄熱期間においては, 凝縮器内の水蒸気圧を反応器内の反応平衡圧力以下に保つことによってCaO粒子層を加熱・再生 (蓄熱) することができた. また, 蓄熱期間において, Ca(OH)2粒子層温度はほぼ一定の反応温度に保たれるが, 本実験の場合, 脱水温度は凝縮器内水蒸気圧に対する反応平衡温度よりも数10K以上高温側にずれることが認められた.さらに, 本実験では, 蓄熱温度700K以上では, 再生用低温熱源としては常温水で十分と考えられた.

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