1989 年 15 巻 3 号 p. 475-480
逆相系クロマトグラフィーの大型化について検討を行い, マルチカラムシステムを利用して工業的規模の逆相系大型クロマト装置を開発した. “カラム分割法” を適用することにより, クロマト分離に要する溶媒使用量および操作時間を大幅に低減することができた.カラム分割操作を行わずにクロマト分離する場合に比べて, いずれも約10分の1に低減することができた.また, 溶出液中の目的成分の最高濃度も約15倍高くなった.さらに, 捕集画分中の水分量が低下するため, 溶媒除去が容易となり, 分離精製プロセス全体の効率化を図ることができた.工業的規模のクロマト分離を行う場合, 分離精製プロセス全体を効率化し, その分離性能を向上させる上で, “カラム分割法” は, 非常に有効な方法であることが確認された.また, ある抗生物質の分離において, 逆相系充填剤, octadecyl-silyl silica gel (ODS-silica gel) が500回以上の使用に耐えることを確認し, 逆相系クロマト分離が工業的に十分利用できることを確認した.さらに, クロマト分離のシミュレーション法は, クロマト分離のスケールアップやカラム分割操作の条件設定を行う場合に, 非常に有効であった.