1989 年 15 巻 3 号 p. 489-496
分子ふるい炭素 (MSC) の前駆物質に炭化水素を含浸し窒素雰囲気中で熱処理を行う方法により, ミクロ細孔の調整を行った.本研究では, 前駆物質として, 0.5nm以下のミクロ細孔を有するヤシ殻炭化物を用いた.昇温速度は10K/min, 熱処理温度は1023~1223Kとした.含浸炭化水素として, ジフェニル・ナフタレン, コールタール・ナフタレン, フルオレン・ナフタレン溶液を用いた.処理を行ったMSCの酸素・窒素分離性能を処理条件, 吸着特性, ミクロ細孔径分布の面から検討した.
酸素・窒素の吸着速度は含浸炭化水素の種類, 濃度, および熱処理条件の組み合わせによって調整することができた.ミクロ細孔径は0.28~0.4nmに調整され, 酸素・窒素に対して高い分離性能を示した.さらに, 酸素・窒素のミクロ細孔入口における拡散抵抗はミクロ細孔内拡散抵抗に比べて大きいことが示された.