1989 年 15 巻 3 号 p. 546-551
ニンジン培養細胞からカロチノイド系色素をアセトン抽出し, さらに活性アルミナによる吸着クロマトグラフィーを用いることによってβ-カロチンを高度に分離精製する手法を確立した.
この手法を用いて, 細胞増殖とカロチノイド系色素の生産量の関係について, 振盪培養とドラフトチューブ付きエアーリフト槽について検討を行った結果, これらの色素は対数増殖期の初期より細胞増殖とともに生産され, 定常期には生産量の減少が起こることが明らかとなった.また定常期に培養液交換を行っても, この傾向は変わらなかった.
また容量1lのドラフトチューブ付きエアーリフト槽を用いたニンジン細胞の高密度培養によって, 定常期の細胞から培養液1l当り, 29.4μgのβ-カロチンを得ることができた.