高分子膜を用いて酵母培養廃液の脱色を行った.NTR-7410膜が検討した膜のうち最も大きな透過流束を示した.透過流束および阻止率に対する操作条件の影響を検討した.脱色率は操作圧力および循環流速に依存しなかった.透過流束は循環流速を上げると上昇し, 高流速で一定になった.透過流束は膜の許容範囲では操作圧力に比例した.
操作圧力1.9MPa, 循環流速0.21m・s-1, 液温度30℃の条件で, NTR-7410スパイラルモジュールを用いて酵母培養廃液を容量減少率10まで回分濃縮した.この時の透過流束と脱色率はそれぞれ6.9×10-6m3・m-2・s-1と98%であった.
回分濃縮を繰り返した後の膜面を走査型電子顕微鏡で観察した.また, 酸あるいはアルカリによる洗浄実験も行い, 透過流束の減少した原因が膜自身の劣化ではなく主に膜細孔の目づまりであることが明らかとなった.
蒸発法と比較した経済性の評価によれば, 膜の交換費用がさらに下がれば, NTR-7410膜を用いて酵母培養廃液の脱色は実用可能である.