化学工学論文集
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アルギン酸とポリウレタンを用いた固定化動物細胞に対するゼラチン添加の効果
真野 隆満田 伸二郎態沢 栄太郎川西 悟生飯島 信司小林 猛
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1991 年 17 巻 5 号 p. 931-936

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抄録

アルギン酸とポリウレタンを用いた動物細胞固定化ビーズにおいて, ウレタンプレポリマーへのゼラチン粉の添加はポリウレタン層に発泡を起こし細胞増殖や抗体生産を促進した.ゼラチン粉の添加濃度を検討したところ, グルコース消費あたりの抗体生産収率とゲル容積あたりの抗体生産速度はともにゼラチン粉添加濃度0.1%~0.2%で最大値を示した.これらの固定化ビーズを用いカラム灌流培養を行ったところ, フラスコ培養と比べて, 約1.5倍の抗体生産収率を与えた.さらに, カラム灌流培養での抗体生産速度は, フラスコ回分培養に比べて約9倍に上昇し, 約300μg/cm3-bead/dayに達した.培養終了後の生細胞数は約1×107cell/cm3-beadであった.
この固定化ビーズは50日間の連続培養においても, 崩壊せず連続した抗エリスロポエチン抗体の生産を可能とした.また, 固定化ビーズからの細胞の漏れは, リアクター全体の生細胞数の約2%に過ぎなかった.

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