1993 年 19 巻 5 号 p. 818-828
化石燃料の燃焼から発生する, 煙道ガスからのCO2の分離回収は, CO2放出抑制のための対策技術として有効な可能性を有する.本論文では, 分離のためのエネルギー消費の理論的限界について論じた.また, 吸収, 吸着, 蒸留および晶析と, 異なる原理の分離プロセスを取り上げ, エネルギー消費の観点から比較した.先ず各プロセスの現状の技術レベルに基づき, 物質およびエネルギー収支計算を行い, エネルギー効率の比較を行った.次いで可能な省エネルギー策を導入した場合のケース・スタディを行い, 各プロセスのエネルギー低減の可能性を探った.この結果からプロセスによっては可逆分離プロセスの2.6倍にまで, エネルギー消費を低減できることが解った.また, 理想的には, 発電プラントの発電効率を減少させずに, CO2の分離回収を行うことも不可能ではない.