1994 年 20 巻 6 号 p. 834-842
層流の上向き流れ中に浮遊させた微粉炭を, 赤外のYAGレーザーパルスにより約106K/sの速度で昇温し, 着火, 燃焼過程を高速度ビデオカメラで観測した.供試した瀝青炭では, レ-ザ照射から1~2ms後にまず表面反応により着火が生じ, 引き続き揮発分の熱分解, 気相燃焼が生じることが観測された.粒子の着火温度を解析して, 80oK~1400Kの範囲での瀝青炭の表面酸化反応速度定数を求めた.反応次数は酸素分圧に対して1次, 活性化エネルギーは約50kJ/molであり, 従来の表面酸化反応理論による文献値と同等である.ただし, 同じ炭種でも個々の粒子により反応性は異なるため, 着火温度には最大で数百度のバラツキがある.これを頻度因子に換算すると約3倍の幅となる.